2008年04月01日
第19回浦安文学賞決まる
藤沢さんに栄冠
佳作は水木、真野さん
奨励賞に5作
第19回浦安文学賞(浦安ニュース社主催、浦安市、市教育委員会後援)は3月19日、作家、渡辺淳一氏による選考の結果、藤沢すみ香さん(48)の『二十枚の半券』に決まりました。佳作は水木亮さん(65)の『癒しの館』と真野桐子さん(57)の『三十年後の湯宿』の2作、奨励賞には曽我田宏次さん(39)の『失われた魂』など5作が選ばれました。授賞式は5月13日、ヒルトン東京ベイで行います。
| 藤沢すみ香さん |
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| 水木亮さん | 真野桐子さん |
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| 曽我田宏次さん | 小柳なほみさん | 加賀美祐さん |
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| 野村勇さん | 向井晴美さん |
浦安文学賞は「うらやすニュース」創刊10周年を記念して平成2年に設定。今回は、昨年12月20日の締め切りまでに全国から前回より48編多い341編の作品が寄せられました。
2次選考には42編、最終選考には10編が残り、8編が入賞しました。入賞作品と作者は次の通りです(敬称略)。
[浦安文学賞]
▽『二十枚の半券』藤沢すみ香=昭和34年6月、葛飾区生まれ。音楽教室経営。第17回、18回日本海文学大賞佳作第一席、プロミスエッセー大賞佳作、今日から悠々エッセイ大賞奨励賞受賞。練馬区在住。
『二十枚の半券』は寝たきりの老いた母に淡い恋の相手がいたことを知った娘の複雑な心情を描いた物語。
[佳作]
▽『癒しの館』水木亮=昭和17年8月、朝鮮生まれ。無職。第49回農民文学賞受賞。山梨県甲府市在住。
『癒しの館』は、定年後、妻に先立たれた男が思い切って老人専門の風俗店を訪れ、至福のひとときを過ごす話。
▽『三十年後の湯宿』真野桐子=本名・辻裕美子。昭和25年9月、香川県生まれ。臨床心理士。第100回コスモス文学新人賞掌編小説部門奨励賞受賞。市川市在住。
『三十年後の湯宿』では、けん怠期の夫婦が30年前、結婚を約束した思い出の湯宿を訪れることになり、夫婦のきずなを取り戻していきます。
[奨励賞]
▽『失われた魂』曽我田宏次=昭和43年8月、埼玉県生まれ。会社員。平成19年1月度日本文学館超短編小説大賞審査員推薦賞受賞。文京区在住。
▽『最後の仕事』小柳なほみ=昭和36年5月、新潟市生まれ。主婦。同人誌「蒼穹」代表。浦安市北栄4在住。
▽『過去への旅』加賀美祐=本名・鎌田正明。昭和31年4月、埼玉県生まれ。アナウンサー養成講師。世田谷区在住。
▽『シシシシシ』野村勇=昭和24年4月、東京都生まれ。嘱託員。墨田区在住。
▽『地下足袋』向井晴美=昭和22年5月、大阪府堺市生まれ。主婦。堺市在住。
〈審査員・渡辺淳一氏(作家)講評〉
大賞作者は小説巧者で人物の姿も目に浮かぶ
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佳作の『癒しの館』は作者と等身大の初老男性の生きざまを巧みに描いています。妻に先立たれた男の孤独や若い女性に抱く下心にもリアリティーがありますが、ラストが想像できるところが残念です。
同じく佳作の『三十年後の湯宿』は仲がいいような悪いような男女の関係が微妙で、2人のはっきりしない揺れる気持ちがよく書けています。淡々と書き過ぎているので、もう少し自分の内面を掘り下げて、夫への期待感や嫌悪感など複雑な感情まで踏み込んで書くと、さらに良くなったでしょう。
奨励賞の『失われた魂』は会社に行くのが嫌になって、いつもの駅で降りずに見知らぬ場所へ向かってしまうところまでは説得力があって、読ませます。しかし、あまり悩むことなく何日も帰らずにいるというのは安易です。もっと内面の葛藤や悩みがあるはずで、そこまで書き込むと深みが出たと思われます。
『最後の仕事』は視点がユニークです。主人公が医療に詳しく、医者に反発するシーンなどは面白いのですが、母親が突然、元気になって、話し始めるところは、幻覚なのかどうかが分かりづらく、つくりすぎで、タイトルもひねりすぎです。
『過去への旅』は妻に男ができて離婚話になった時に乳がんが見つかり、夫なしでは生きていけなくなったという状況設定が巧みです。しかし、短編に盛り込むにはテーマが大き過ぎました。理屈で説得しようとしているところも気になりました。
『シシシシシ』は主人公である中学生のぼくが、父と母の間にある、暴力だけではない愛着を少しずつ発見し、成長していく姿がよく書けています。表面からは見えないものを見ようとしている複眼的な柔らかい視点が魅力です。ただし、見知らぬ男の登場は唐突で、タイトルもいまひとつです。
『地下足袋』は嫌みがなく、読後感がさわやかでした。しかし、登場人物がいい人ばかりで、つらい思いをしている私の前に優しい人が現れたというだけで終わっているところが物足りません。ここから先、どうなるのかを書いてほしかったのですが。
2次選考に42編 最終選考に10編
第19回浦安文学賞の選考で2次選考に残ったのは42編、最終選考に残ったのは10編でした。2次選考以上の通過者は次の通りです(入選者を除く。敬称略)
[最終選考]
▽『姉の改心』岡倍あか里(江東区)▽『迷人幻想』米本真文(千葉市)
[2次選考](32編)
▽村山安志(浦安市)▽碧来さなゑ(市川市)▽萩ましこ(千葉市)▽細井麻奈美(松戸市)▽西村泰夫(大田区)▽鈴木真知子(世田谷区)▽篠宮亜季子(練馬区)▽藤井加奈子(八王子市)▽ヒロミ(府中市)▽三松道尚(町田市)▽前田宏樹(小金井市)▽古厩志津子(三鷹市)▽千葉由香子(札幌市)▽工藤実(青森市)▽小川れん(岩手県下閉伊郡)▽八代穣(茨城県つくばみらい市)▽原口啓一郎(埼玉県朝霞市)▽工藤慶二(同富士見市)▽大関紗織(同本庄市)▽上保和加子(横浜市)▽浅野三智雄(川崎市)▽高橋美恵(同)▽宮崎節子(茅ヶ崎市)▽宮坂朝子(長野県松本市)▽川島昭子(富山県高岡市)▽樋口健司(岐阜県揖斐郡)▽深沢晶子(大阪府枚方市)▽勝井慧(奈良県橿原市)▽木下訓成(広島市)▽麻十慎(愛媛県今治市)▽武田典子(同郷六ケ内町)▽理楽るうむ(北九州市)





