2007年06月01日
浦安けいざい学入門
『日本一学』(下) 良さを知って街づくりを
明治大学商学部教授 水野勝之
『日本一学』(好きです浦安―こんな街にしたい会著、創成社刊)ではいくつかの浦安の特徴を的確につかんでいます。
例えば、第5章の佐々木広武氏執筆の「日本一の交通事情」。なるほど東京駅から15分以内の住宅地は日本一の立地です。鉄道だけでなく、陸海空の交通の便がある土地であることには改めて驚かされました。
陸の交通は、JR京葉線と東京メトロ東西線の鉄道に加えて、湾岸道路などの道路があります。また、東京駅、新宿駅といった大きなターミナル駅でもないのに、ディズニーリゾートからは全国各地への長距離バスの直行便があります。
海の交通では、直接大型船が鉄鋼団地の岸壁につき、荷の積みおろしをしています。また、浦安マリーナにはボートやヨットが160隻保管され、60隻が係留できます。
空の交通は浦安へリポート。千鳥にある24時間発着が認められているヘリポートです。個人や報道機関の利用がなされています。都心から電車でも車でも15分ならば、これほど便利なところはありません。
第8章の「日本一の公共サービス」では、平成17年4月に市民満足学会が行った調査結果について記されています。浦安の公共サービスは日本一が示され、そこでは各公共サービスについての検証がなされています。ゴミ処理、図書館、病院などさまざまな公共サービスについて全国の順位と説明が記されています。
調べたのは回答者数が10人以上であった374の市区郡です。
しかし、「全国1位」というのは、サービスについての全体の印象を住民に一括して答えてもらったアンケート結果であり、前述の一つ一つの公共サービスについての点数を加点していく方法をとると、全国12位になるそうです。
その違いの理由は足を引っ張るサービスがあることです。中でも順位が低かった項目に上下水道がありました。おいしいとは言いがたい浦安の水道水がやはり全体の順位を落としています。下水道も、災害時に機能するかどうかという点で第8章執筆者の大島章嘉氏は疑問を呈しています。
大島氏はこの点では改善が難しいので、他の点で順位を上げる努力をしたらどうかと提言しています。一例を挙げれば、病院サービス。浦安順天堂病院は614病院中288位、当時の浦安・市川市民病院は517位でした。「不満が多い待ち時間」が改善されれば、病院サービスの順位が上がるだけでなく、浦安市全体のサービスの順位が上がるでしょう。
この本は日本一がたくさんあればよいということではなく、それを誇りに街づくりをしたらいかがかという提案です。この考え方が浦安だけでなく、全国の街づくりに広がることを期待しています。
