2007年05月01日
〈浦安けいざい学入門〉
『日本一学』(上) 地域の誇り探して刊行
明治大学商学部教授 水野勝之
市区町村を中心とした地域経済研究を進めてきました。各地域はそれぞれきらりと光るものを持っています。ただ、それらに住民が気づいているかというと必ずしもそうではありません。
その地域に住んでいると、当たり前のもの、当たり前のこととなってしまい、それらを生かしての地域活性化を行っていないということがよくあります。外から見ていて歯がゆい思いをします。
どこの地域にも、全国に誇れる日本一があるはずです。市民、行政、企業がそれに対して誇りをもって街づくりを進めれば、個性豊かな地域活性化につながると考えられます。
そこで、浦安でも、市民が自分たちで誇りに思える日本一を探してみよう、そして、街づくりに役立てようと、今年1月、『日本一学―浦安編―』という本を、私が代表を務める「好きです浦安―こんな街にしたい会」で出版しました。
浦安の日本一は、ディズニーリゾートだけではありません。本欄でも紹介しましたように、浦安には日本一がたくさんあります。ここで言う日本一には、政府などの統計上のものだけではなく、地域の人たちが自分たちの心の中で思う日本一も含まれます。
「ナンバーワンよりオンリーワン」といわれますが、地域でも、その個性豊かな特性を誇りとし、それを地域づくりに活かすべきです。
今回出版した本の最大の特徴のひとつは、浦安の発展の原点が、浦安の民族性にあったと見なしている点です。
「海に出て、自分たちの頑張り次第でお金を稼ぐことを知っていた」漁業従事者が、漁業権放棄後、埋め立て地での街づくりに関連して発生した新しいニーズにうまく対応し、所得獲得の構造を作り上げました。
つまり、その人たちが、「ディズニーのある街・浦安に住みたい!」と思う多くの人たちのニーズ(魚影)をいち早く読み取り、持ち前の頑張りで、賃貸住宅・アパートを建てたり、飲食店を開業しました。特に、飲食業については、漁業に従事していた人たちの味覚のよさがおいしいものの提供につながり、業界の発展をもたらしました。
浦安の民族性が新しい産業を浦安に生み出し、それがまた新しいニーズを生み出し、それを繰り返しながら浦安は成長してきた面があります。第2章を執筆した今泉浩一氏のこの見解こそが、本の基本的なコンセプトのひとつになっています。
今泉氏は、不動産業を営みながら、浦安の街の発展をじかに体感してきただけに、この説明には説得力があります。
浦安の漁業としてべか舟や投網をそのままの形で伝えるのも重要ですが、無形の「浦安の漁業の精神」を大切に残し、浦安の発展に役立てていくことは浦安を築いてきた先人たちにもっとも報いることだと思います。
漁業権放棄後、陸上の魚影を的確に見つけ出し、それに正確に対応してきた「浦安の漁業の精神」こそ、われわれが誇れる日本一であることを感じました。
