2007年04月01日

乳がんで悲しまないために(7)
肥満を避ければリスク軽減
東京臨海病院 外科医長・乳腺外科 鈴木貴久

 乳がんになりやすい人とはどういう人たちでしょうか。
 いわゆる乳がんのリスクファクターとしては、初経年齢が11歳以下、閉経年齢が55歳以上、出産経験がない、初産が30歳以上、家族に乳がんになった人がいる、肥満などが挙げられます。
 このうち家族癧はもちろんのこと、生理や出産に関することは自分でコントロールするのは難しいと思われます。その中にあって、唯一、自分でもコントロールできるものは、そう、〝肥満〟です。
 肥満度を判定する国際基準としてBMI(Body Mass Index)というものがあります。体格指数とも呼ばれ、BMI=体重(kg)÷身長(m)÷身長(m)で計算されます。
 この値が22となる体重が〝理想体重〟とされ、25を超えると、肥満と分類されます。
 肥満の中でも下半身が太っている「洋なし肥満」よりも胸からお腹にかけて太っている「リンゴ型肥満」の人の方が乳がんの発症リスクが高くなることがわかっています。
 リンゴ型肥満は「内臓脂肪型肥満」とも呼ばれ、最近ではメタボリックシンドロームとして問題になっています。
 このような肥満の人は乳がんだけでなく、心臓や脳血管疾患の予備軍にもなります。
 また、実際に乳がんにかかってしまったとしても、肥満に関してはデメリットが多くあります。
 まず、手術の時間はやせている人よりも太っている人の方が長くかかりますし、乳房を切除した部分に正常な部分との段差がつきやすく、術後の創もきれいにならない場合があります。
 抗がん剤を使用する際も、薬の投与量は体表面積で計算されるので、太っている人の方が薬の量が多くなります。
 最近、肥満によって早期乳がんの生存率が低下するという報告があり、早期乳がん患者のうち、肥満の女性の方が正常体重女性よりもがんによる死亡率および転移率が高いことがわかってきました。
 では、いかにして肥満にならないようにするか。ちまたにはいろいろなダイエットフードやグッズがあふれていますが、逆に言うと、これはダイエットがなかなかうまくいかないことの表れであるとも思われます。
 現行の保険制度では太っているために手術の時間や手間がよけいにかかろうと、薬がたくさん必要になろうと、保険点数はまったく変わりません。
 ですから、例えば、BMIが35を超えるような肥満の方からは、よけいにかかった部分の費用を自己負担して頂くといった制度でもできれば、やせるきっかけの一つになるのではないでしょうか?
 とにかく、乳がんになりにくい体質にするには、適度の運動と野菜の摂取、そして、何よりも太らないということが大事なことであると思います。
 (江戸川区臨海町1-4-2 電話03-5605-8811)