2007年04月01日

第18回浦安文学賞決まる
大賞に実川さん
佳作は小川、篠宮さん 奨励賞は4作

 第18回浦安文学賞(浦安ニュース社主催、浦安市、市教育委員会後援)は3月27日、作家、渡辺淳一氏による選考の結果、実川れおさん(19)の『ほくほく』に決まりました。佳作は小川真由子さん(25)の『未来を殺さないで』と篠宮亜季子さん(65)の『置きみやげ』の2作。奨励賞には八木文子さん(52)の『蟻を踏む』、富崎喜代美さん(42)の『水底の月』、藤村沙貴さん(45)の『いつか見たかった夕日』、尾木直子さん(35)の『ラビット革命』が選ばれました。
授賞式は5月17日、ホテルオークラ東京ベイで行われます。

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実川れおさん
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小川真由子さん 篠宮亜季子さん

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八木文子さん 富崎喜代美さん
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藤村沙貴さん 尾木直子さん
 浦安文学賞は「うらやすニュース」創刊10周年を記念して平成2年に設定。今回は、昨年12月20日の締め切りまでに全国から前回より19編多い293編の応募がありました。うち市内から12編。
 最終選考に残ったのは10人。
 今回の入選作と作者は次の通りです(敬称略)。
 [浦安文学賞]
 『ほくほく』実川れお=本名・新妻玲央(にいつま・れお)。昭和63年1月、福島県いわき市生まれ。國學院大文学部日本文学科在学中。町田市在住。
 『ほくほく』は女子高生のケーコが、脱サラして焼き芋屋になった伯父を1日だけ手伝うことになり、その生きざまに触れて、次第に打ち解けていく物語。
 [佳作]
 『未来を殺さないで』小川真由子=昭和56年12月、北海道紋別市生まれ。看護師。札幌市在住。
 『置きみやげ』篠宮亜季子=本名・荒井明子。昭和16年7月、愛媛県生まれ。主婦。練馬区在住。
 [奨励賞]
 『蟻を踏む』八木文子=昭和29年8月、京都府生まれ。主婦。品川区在住。
 『水底の月』富崎喜代美=昭和39年8月、佐賀県生まれ。主婦。佐賀郡在住。
 『いつか見たかった夕日』藤村沙貴=昭和36年4月、新潟県生まれ。主婦。新潟市在住。
 『ラビット革命』尾木直子=昭和46年2月、京都府生まれ。教員。滋賀県守山市在住。

〈選考委員・渡辺淳一氏の講評〉
「ほくほく」ほのぼのとした心情 柔らかい感性で表現
 

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大賞の『ほくほく』は、初めは素っ気ない女子高生とその伯父とが次第になじんでいく過程がほのぼのと描かれている。作者はまだ若いようだが、登場人物の心の動きや優しさを柔らかい感性で巧みにまとめている。
 佳作の『未来を殺さないで』は仲の悪い姉妹の実感がよく描かれていて、迫力がある。さまざまな迷惑を受け、怒りながらも、つっぱねるわけにもいかない、血のつながりの重さを考えさせられる。
 同じく佳作の『置きみやげ』は、そこはかとない男女の関係がさわやかに描かれている。後半はややゆるみがあるが、失そうした相手の男性も悪い面ばかりでなく、良心も見えて、読後感は心地いい。
 奨励賞の『蟻を踏む』は母の手術という緊急事態によって兄弟が向き合い、理解を深めるという状況設定が巧みである。内容的にはいまひとつであり、書き込んでほしかった。
 『水底の月』は女性に会うところまではいいが、結局、中途半端に終わってしまった。幻影が出てくるような小説は難しいだけに、慎重に書くべきである。
 『いつか見たかった夕日』は主婦の気持ちがよく書けている。「いつかシンドローム」という言葉も面白いが、小説としての核がないので、焦点がぼけてしまった。
 『ラビット革命』はアイデアはいいが、それを納得させるリアリティーにいささか欠けるのが残念である。