2007年01月01日
<浦安けいざい学入門>
金銭教育 利益出す難しさも経験
明治大学商学部教授 水野勝之
今月は前回の金銭教育の続きです。本欄でもかつてお話しましたように経済社会では、おかねの動きごとに所得が生まれます。
たとえば、ある食べ物を買うと、おかねを支払います。売る方は仕入れた材料に加工を施し、仕入れ値に金額を上乗せして売ります。その上乗せした部分が会社や従業員の所得になります。この場合、加工の際の苦労、努力を積み重ねた結果、おかねを稼いだことになります。努力イコールおかねです。
金融という言葉があります。銀行などの金融機関はモノを作らないからといって、努力しないでおかねを稼いでいるわけではありません。
預金者から集めたおかねを使いたい人に融通し、そのレンタル料を稼いでいます。もちろん預金者には逆にレンタル料を支払います。金融機関はおかねを集め、貸し出すという努力の対価として金利というレンタル料を得ています。そのレンタル料が金融機関の所得(含従業員の給料)になります。
手元にあるおかねには「これはみんなの努力の結晶です」とは書いてありませんので、子どもたちにとっておかねは楽に手に入れるべきものという錯覚が生まれる可能性があります。
そのような錯覚を引き起させないために、おかねの本当の意味を学んでもらおうとするのが今回の小中学生の金銭教育の目的です。
小中学生にもおかねの意味をわかってほしい、また大学生にも商学部の授業を受けたあとに金銭教育を実践してその意味を再認識してほしいと思っています。
前回、浦安小学校での金銭教育の内容を書きました。物流などの勉強をしたあと具体的にカレー販売の準備を行い、カレーライスをスポーツフェアで販売しました。小学生たちが接客(カレーの受け渡し)、裏方(カレーの盛り付け)、宣伝(チラシ配布と呼び込み)のグループに分かれて努力した結果が600食の完売でした。
最終の授業で利益を計算してみると、それはわずかな額でした。小学生たちはちょっとがっかり。しかし、努力してもおかねがあまり稼げないことがあること、おかねを稼ぐというのは売れればよいというわけでないことなどを学びました。おかねを稼ぐ難しさを経験できました。
小学生の感想です。「大人の世界では仕事が一番大変だとわかりました! 大人の世界がやっとわかった」「お父さんとお母さんは毎日仕事もしていて大変だとあらためて思いました」「お金をかせぐことはこんなに大変じゃないと思っていたので、親の大変さがわかってよかったです」
金銭教育は全国的に盛んです。さまざまな方法で実行されています。おかねの意味を知るには、おかねは努力の対価であることを理解できる心が必要です。
年代の近い大学生と小学生の異世代交流の授業は、お互いの心が打ち解けあうのも早く、心を伝える教育としては好例であるように思います。金銭教育は、プロが教えるのも一つの方法ですが、その意味で大学生が行うのも有力な方法です。
