2007年01月01日

乳がんで悲しまないために(4)
手術、放射線、抗がん剤、ホルモン療法
東京臨海病院 乳腺外科 鈴木貴久

 患者さんにがんの告知をするときは、患者さんはもちろんのこと、医師にとってもつらい瞬間です。
 乳がんの場合、ご本人に告知をせずに手術をすることはできませんので、乳がんと診断がつき次第、すべて本当の事をお話ししなければなりません。
 以前であれば、胃がんや大腸がんなどの場合は、ご家族にがんであることを伝え、本人に告知するかどうか相談することもありましたが、乳がんに限ってそれはありませんでした。(最近では個人情報保護法の関係もあり、いずれのがんでも本人に告知することが当たり前になってきています)
 「あなたは乳がんです」と言われたとき、ショックを受けない人はいないと思います。そして、自分はすぐに死んでしまうのだとか、乳房を失ってしまうのだとか考えてしまうと思います。
 こんなときはまず患者さんのショックを和らげることに努めます。乳がんの治療は最近非常に進歩しており、きちんと治療すればすぐに命にかかわるような事はないことや、しこりが3センチより小さければ乳房を温存できる可能性があることなどを伝えます。
 そうした上で、患者さんに自分が乳がんであること受け入れてもらい、その後の治療方針や予定などを話し合って決めていきます。
 乳がんの治療は主に手術、放射線治療、化学療法(抗がん剤治療)、ホルモン療法の4本柱でなっており、それらを組み合わせて個々の患者さんの状態に合った治療を行います。
 手術だけであれば2週間ほどの入院で済みますが、実はその後の治療の方がずっと時間がかかります。術後の放射線は約1カ月半、化学療法は4~6カ月、ホルモン療法に至っては5年以上かかります。
 このように乳がんの治療には非常に多くの時間を要しますので、患者さんとも長いお付き合いになっていきます。ですから、最初に乳がんの告知をするときは、なるべく時間をかけて丁寧に説明をし、信頼してもらえるよう気を配ります。
 しかし、そうした上でも、別の医師の意見を聞いてみたいという方もおられます。いわゆるセカンドオピニオンですが、その場合はご希望の病院へこちらで施行した検査結果と紹介状を持参してもらい、いずれかの病院で治療を受けていただくことになります。
 セカンドオピニオンは患者さんの当然の権利であり、医師への申し出に躊躇(ちゅうちょ)する必要はありませんし、医師にはそれを拒む理由もありません。やはり、ご自分の体のことですから、満足のいくところで治療を受けていただくのが一番だと思います。
 それでもセカンドオピニオンに行った患者さんが自分のところに戻ってきてくれたときはやはりうれしいものですし、その人のためにも一生懸命治療しようという気持ちになります。
 しかし、最近、マスコミでもセカンドオピニオンが話題になることが多いため、使い方を間違えている場合もあります。あまりに慎重になりすぎて、次から次へと病院を転々とする方がいらっしゃいますが、それはセカンドオピニオンではなく、ドクターショッピングというものです。
 それでは時間とお金の無駄ですし、何より自分の体のためにも良くありません。なるべくなら治療までにあまり時間をかけずに、信頼できる施設で信頼できる医師のもと治療を受けていただきたいものです。
 (江戸川区臨海町1-4-2 電話03-5605-8811)