2006年12月01日
<ティータイム>
新聞から読み取る日本経済と不動産の動き
この1年間の日経新聞をじっくり読むと、現在と将来の経済と社会の姿と不動産の動きが見えてきます。(「私の選んだ新聞の切り抜き記事集」参照・申し出があれば、お譲りします)
(1)日本の大手企業は、90年のバブル崩壊後15年間のデフレ時代を、苦しみながらも、ようやく不良資産処理を終え、リストラで利益の上がる体質になりました。
1.銀行も公的資金注入の返済をほぼ終えましたので、企業への貸し出しが積極的になっています。
2.そこへBRICs(ブラジル・ロシア・インド・中国)のすさまじい経済成長で、石油や工業原料が不足する事態が生じ、素材を押さえる商社やアジア諸国への輸出入にかかわる鉄鋼、海運、自動車、電気製品、工作機械等々の企業群が好況になりました。東アジアのGNP総額がアメリカと日本の合計額を超えた、という記事もあります。
3.アメリカの景気も住宅産業が多少落ち目ですが、依然好況が続いて、トヨタのハイブリッド車やホンダの省エネ車の輸出は絶好調です。そのため、企業の設備投資が前年比16%を超える状態で国内企業を先導しています。アメリカだけでなくBRICsやアジア経済圏を取引相手として持てるようになった日本は今後、ますます有利な経済環境です。
4.また、日本は自動車の排ガス規制対策技術をはじめ、公害対策の技術が世界の先端を走っていますので、ハイブリッド、水素エンジン、燃料電池車、太陽電池などのエネルギー産業、プラスチックの再利用技術などで世界を先導できる位置にいます。この技術で世界を相手に稼げそうです。
5.さらに、工業原料や石油が不足したことや北朝鮮不安も重なり、日本の円が下落したため、輸出産業は円安メリットで大儲けです。円安は、輸出国日本にとっては大いに有り難い産業振興策になったのです。この流れ、「アジア景気」「輸出景気」「円安景気」「設備投資景気」は、今後も当分続きそうです。
⑥ただ、リストラで一番絞り上げた人件費がまだそんなに上がっていませんので、企業が利益を上げている割には「国民の豊かさの実感がない」のですが、儲かっている大手企業から徐々に徐々に給与が上がりだしていますので、1~2年先には国民全体の給与と労働条件が良くなり、消費も伸びることになるでしょう。
GNPの60%を占める「消費景気」が上がれば、本格的な好景気が来ることになります。もうそこまでそれが見えてきました。
(2)そこに、国内景気を押し上げる要因も出てきました。「団塊の世代」(55~59歳の1,270万人)と「団塊のジュニア世代」(30~39歳の1,800万人)の動きが日本経済を大きく動かし始めました。
1.人間は、23歳で就職し、30歳くらいで結婚し、仕事にも慣れ、32~45歳で仕事の中心となり、自己研修をし、子供が出来、家を買い、子供の教育し、車を買い、投資をします。つまり、35~45歳くらいが人間が一番物を買い、お金を使い、激しく経済活動をする年ごろでしょう。この年ごろの人間が多い時、日本の経済活動GNPが伸びるでしょう。
そこで、「団塊のジュニア世代」の1,800万人が40歳前後となる7年後の2013年を頂点として日本の国内経済が最高潮になることが予測されます。現に、マンションが売れ始めているのはこのためです。
2.「団塊の世代」の1,270万人が40歳前後であった1985~1990年の間、バブル最盛期でした。この「団塊の世代」が07年から退職し始めます。退職金の平均が2,000万~2,500万円として、支払われる退職金の総額は200兆円前後となるでしょう。
「団塊の世代」は、学校でも職場でも競争にさらされて、バブル最盛期に40歳前後であり、50歳前後はリストラの波にもまれた人々です。この激しい競争を生き抜いた人たちは元気です。恐らく1,270万人のうちの600万人は、勝ち組として、2,500万円の退職金と2,000万円の預金、残債の少ない2,000万~6,000万円の自宅の総資産合計5,000万~1億円を持っており、それを合わせると500兆円を超える資産がこの人たちの手にあるのです。
この元気の良い「団塊の世代」が、退職を控えて、「今後の20年間をどこでどう過ごすか?」を考えているのです。「まだ元気の良い今のうちに、ローンがつけやすい今のうちに、自宅を売って、妻と2人で生きる終の住処」を求めて動き始めています。
3.浦安市内でも、ここ数年は設備の古くなったマンションや階段のある家、庭掃除が大変になりそうな一戸建て、地震の心配のある古い建物等の自宅を売って、設備の整ったバリアフリーのマンションに買い換える人が非常に多くなりました。
4.浦安市内の自宅を売って、故郷に帰る人も多いです。田舎暮らしが好きな人や経済的に比較的余裕のない人は、値上がりした自宅を売って、「居住用3,000万円控除の特例」を利用して、税金をほとんど払わずに、地方に安い家を買い、残ったお金を老後資金にして、安い生活費で生きられる田舎暮らしを選ぶのは賢い選択でしょう。
このために、人口が減少している地方では、「団塊の世代の移住」を最大の命題として「団塊の世代誘致合戦」が起きています。
5.経済的に余裕のある人は、暖かいところの好きな人は暖かい地方を、寒いところが好きな人は寒いところに、別荘を購入しています。沖縄や軽井沢や那須高原やあるいはハワイ、オーストラリア、タイなどのリゾート地が値上がりしているのはこのためです。
6.また、子供たちとどう生きるかは、親世代にとって大変重要で大きな問題です。二所帯住宅で一緒に住むか、頭金を出して近くに呼び寄せて、スープの冷めない距離で住むか、それぞれの立場で選択しています。
現在では、80%の人が、子供にマンションの頭金を出してあげて、近くに住み、孫、子の顔を見ながら仲良く住み分けることを選んでいます。
「親から子供への住宅資金贈与は3,500万円まで非課税」という税制は、「団塊の世代」と「団塊のジュニア世代」の親子関係を良くし、日本経済を活性化するのに大変に良い役目を果たした税制となっています。
7.さらに、「団塊の世代」は元気な世代ですので、よく働くし、お金も使うし、よく遊ぶ世代です。60歳で退職しても、働く人も多いでしょう。余裕のある人は、株に投資し、あるいはアパートに投資して、老後の資金を増やそうとするでしょう。ここにも大きなお金が動くでしょう。
8.以上のような「団塊の世代」と「団塊のジュニア世代」という2つの大きな人口の塊が、今から大きく動き、日本の経済に大きな影響を与えます。
「団塊のジュニア世代」を中心に、若い人は「良い仕事のある地域」に就職し、その近くの「住みやすい街」に住みます。企業は「利益の上がる所」を求めて移動します。
その結果、「首都圏と名古屋圏と大阪圏に企業が集中しています」ので、その3大地域に若い人が集まり、人口も増加し、地価も上がっています。
この3地域を高い山に見立てると、それ以外には福岡、札幌、仙台などの地方中心都市が企業を集め、その周辺から人を集めて人口が増えて、小さな山を造っています。
そして、これ以外の地方は「観光で人を集める」か「老後の過ごしやすい環境・条件を整えて、団塊の世代の里帰り・田舎暮らしを誘う」以外に方法がなく、どんどん人口が減っている状況です。
これが現在の日本の経済・社会状況です。
そこで、「この動きを取り込んだ企業」とその企業があるために「良い仕事のある地域(多くは都市部)」、そして、「団塊の世代を呼び込んだ住みやすい地域」「観光客を呼び込んだ地域」が大きく伸びるでしょう。
そして、日本の経済は全体に大きく伸び、2013年を頂点として繁栄するでしょう。その結果として、株は日経平均で4万円を超え、不動産価格は「良い仕事があり、住みやすい所」(人口が増えている所)では90年のバブル価格を超えるところも出るでしょう。他方、若い人がいなくなり、団塊の世代の呼び込みに成功できなかった地域は、人口が減り続け、地価はまだまだ下がることになるでしょう。
こんなに世の中が変化している時ですので、よく人の流れを読み取って、「どこに住むか?」「どこで仕事をするか?」「どこに家を買うか?」をよく考えて、自分に合った選択をしっかりとするべき時です。
(2006年11月18日記 (株)明和地所 代表取締役 今泉浩一)
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