2006年12月01日

乳がんで悲しまないために(3)
江戸川区の1次検診は超音波
東京臨海病院 乳腺外科 鈴木貴久

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乳房検査のスタッフと筆者(中央)
 乳房にしこりが触れたとき、皆さんは何を思うでしょうか?
 「乳がんかもしれない。心配だ」そう考える方がほとんどだと思います。しかし、一口に乳房のしこりといってもさまざまなものがあります。
 一番多いのは乳腺症といって、乳腺自体がゴツゴツとした感じになり、その一部がしこりとして触れるもの。
 それから嚢胞(のうほう)、線維腺腫(せんいせんしゅ)、葉状腫瘍(ようじょうしゅよう)といった良性のしこりがあります。
 これらのしこりはさわっただけではがんとの区別が難しい場合もありますが、たいてい良性のものは表面がツルッと滑らかで、よく動き、柔らかいといった特徴があります。
 反対に乳がんの場合は表面がざらざらと不整で、触った感じも硬くなります。
 いずれにせよ、乳房にしこりが触れた場合には、検査を受けていただくのが大事なのはいうまでもありませんが、一体どれくらいの割合でそれらのしこりの中に乳がんがかくれているのでしょうか。
 江戸川区の乳がん検診をもとに当院で集計したデータを示します。浦安市と違い、当院のある江戸川区での乳がん検診はマンモグラフィーではなく、超音波による1次検診を行っています。
 江戸川区の1次検診でなんらかのしこりを指摘され、当院でさらに精密検査を受けていただいた約600人のデータを集計したところ、27人に1人の割合(3.8%)で乳がんが見つかっています。
 この割合を多いと感じるか、少ないと感じるかは人それぞれだと思いますが、決して「しこり=乳がん」ではないということがお分かりになることと思います。
 乳房の石灰化病変に関してはマンモグラフィーが有用ですが、しこりの質的(良性か悪性かの)診断という点では超音波検査が非常に有用です。嚢胞や線維腺腫といったものは超音波検査で簡単に区別することができます。
 しかし、しこりが非常に小さかったりする場合、超音波をもってしても、がんとの区別が難しいことがあります。
 では、いかにしてがんであるかどうかを確認するかというと、そのしこりの細胞をとって調べてみるしかありません。
 これがいわゆる針生検と呼ばれるもので、採血で使う細い針で刺す細胞診や、バネ仕掛けの太い針で刺す組織診、最近では吸引装置がついたマンモトームといった大掛かりな機械まであります。乳がんの診断にはこういった、病理学的な検査が欠かせません。
 そのしこりの中に本当にがんが存在するのか。いくらマンモグラフィーや超音波検査で乳がんが疑われても、それだけで手術をするのは危険です。状況証拠だけで犯人(=がん)を捕まえてしまっては、えん罪(=良性)の可能性もあります。
 われわれ乳腺外科医は女性にとって大事な乳房に傷をつけるわけですから、こうしたえん罪を起こさないためにも、しっかりとした検査し、確実な診断をすることを日々心がけています。
 (江戸川区臨海町1-4-2 TEL03-5605-8811)