2008年12月01日

目指そう! 自給率向上
もっと米を食卓へ

商議所 小林元農水次官を招き講演会

 浦安商工会議所は11月17日午後4時から同会館3階で「世界と日本の食料事情」をテーマに講演会を開き、約60人が聴講しました。講師は舞浜在住で元農林水産省事務次官の小林芳雄さん(59)。昨今の食品価格高騰の背景や今後、どういう方向を目指すべきかについて語りました。

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世界と日本の食料事情について語る小林さん

 小林さんは1949年8月、長野県上田市生まれ。東京大法学部を卒業後、農林水産省に入省。水産庁長官などを経て2006年、事務次官となり、07年、退職。今年から農林中金総合研究所顧問を務めています。
 小林さんはまず、世界各国が自国で生産する生産物のうち他国への輸出に回す割合である「貿易率」について、石油は63%、自動車は48%が輸出に回されているのに対し、米は7%、とうもろこしは12%と、鉱工業品に比べて農作物の貿易率が総じて低いことを説明。
 さらに、とうもろこしは米国とアルゼンチン、ブラジルの3カ国で全輸出量の9割近くを占めているなど、特定の国や地域への依存度が高いことも示し、この貿易率の低さと生産地の偏りが不作などの影響を受けやすく、農作物の国際市場を不安定にしているという根本的な問題を明らかにしました。
 この40年間で世界人口は倍増し、これまでは品種改良や化学肥料、機械化など単位面積当たりの収穫量を増やすことで対応してきましたが、その努力も限界に近づいてきています。
 さらに、06年秋以降は新興国での需要急増、バイオ燃料向けの需要増、異常気象などにより穀物価格は高騰。多くの国で自国の食料確保のため輸出を規制する動きもこれに輪をかけています。現在は、世界的な不況のため、穀物価格も落ち着きを見せているものの、06年秋に比べて1.4―2倍という高水準にとどまっています。
 日本でも食品価格が高騰しましたが、物不足に陥ることはありませんでした。その理由は、日本には経済力があり、いざとなればお金を出して、世界中から食料を買い集めることができるから。
 しかし、中国などの新興国や中欧諸国も経済力をつけてきて、日本より良い条件を出せるようになってきており、日本が「買い負け」することが実際に起きています。
 新興国での所得増加は肉食化にもつながり、牛肉1kgを生産するために使われる穀物は11kg、豚肉なら穀物7kgと、穀物を直接食べる生活に比べて、穀物消費は大きく加速されています。
 食料需給の逼迫(ひっぱく)は今後も長く続くと考えられ、経済力も心細くなってきた日本では自給率向上が急務となっています。
 現在、食品のカロリーで換算した日本の食料自給率は40%。アメリカ128%、ドイツ84%、イギリス70%に比べ、ひときわその低さが目立ちますが、カロリーベース以外にも算出方法はあり、生産額ベースでは日本の食料自給率は66%となっています。
 仮に、今、日本国内で消費している農作物を完全に自給できるよう生産するとすれば、現在ある農地(田畑合わせて467万ha)の2.5倍(1,245万ha)を追加する必要があり、現実問題としては無理な話。
 小林さんは、この現状を改善するために、一人一人が現在の食生活を見直し、国内で生産できるものを国内で食べるという米を中心とした「日本型食生活」に近づけることができれば、自給率も上がると解説。
 さらに、地域でできる取り組みとして、農林漁業者の生産技術と商工業者の流通・販売ノウハウを結びつける「地産地消」の推進も自給率向上に貢献する、と締めくくりました。